ジョグジャカルタ原則のいろんな翻訳をさがしてみる


「性的指向と性自認の問題に対する国際人権法の適用に関するジョグジャカルタ原則」


2006年11月、インドネシアジョグジャカルタで29人の国際人権法専門家により編纂された性的少数者の人権保障指針ジョグジャカルタ原則ですが。
約1年9ヶ月たった現在、じわじわと国際的人権運動の場で知名度を上げつつ、自己アピールしています。


それに関して、いろいろ調べてみたいことはあるんですが(で、なかなか時間がないのですが)。ここではちょっと未完の小ネタプロジェクトにトライしてみます。
ジョグジャカルタ原則の翻訳はいくつあってどこで手に入るか?です。
って、単に僕がちゃんと把握していないから数えてみよう、ってだけなんですが。


ジョグジャカルタ原則は、公式には英語・仏語・スペイン語・ロシア語・アラビア語・中国語の6カ国語で発表されてるわけですが。


各地のLGBT団体や人権組織で、そのほかの言語にも翻訳されているんですね。


しかし、まだあんまり見つけてません。そもそも読めないんで、見つけようにも限界ありまくりなんですが。
イントロダクションと目次だけならいろんな言葉に訳されているんですが、全訳は、まだそれほど多くない。でも、あることはある。


どこで、何語に、どのように訳されてるかというのは、ジョグジャカルタ原則がどうやって広まってゆくのかという一端を示していて、興味深いです。


とりあえず見つけたものだけでリンク集を作って、また発見したら、追加していきたいと思います。
1つ1つの翻訳の出来や、翻訳した団体・組織の意図の是非などについて、突っ込んで論じる能力は僕にはないので、その点はご了承のほどを。
語学の勉強とかにも使えるかも(?)。よろしかったらどうぞ(笑)。

インドネシア語 PRINSIP-PRINSIP YOGYAKARTA


2006年に設立されたインドネシアのLGBTI団体、Arus Pelangi: Indonesian Federation of Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender & Intersexが翻訳を出しています。


PDFがダウンロードできますが、登録が必要です。
とりあえずHTMLバージョンで、どんなものか見ることが出来ます(って、僕は全然読めませんが。そういえばマレー語系の言葉では複数形は語を繰り返すんだったなあとか、そのぐらい)。


PRINSIP-PRINSIP YOGYAKARTA(HTMLバージョン)
  

タイ語

  
2008年11月29日、タイのバンコク第1回National Human Rights Day for Sexual Diversityが開催されました(紹介エントリ)。
このイベントで、タイの国立人権委員会National Human Rights Commission of Thailandにより翻訳されたタイ語バージョンが配布されたそうです。

ドイツ語 Die Yogyakarta-Prinzipien


Deutsche Ausgabe der Yogyakarta-Prinzipien erschienen - Hirschfeld-Eddy-Stiftung


Hirschfeld-Eddy-Stiftung: Stiftung f?r die Menschenrechte von Lesben, Schwulen, Bisexuellen und Transgender(The Hirschfeld-Eddy Foundation for the Human Rights of Lesbians, Gays, Bisexuals and Transgender People)は、国連協議資格NGO(2006年から)であるthe Lesbian and Gay Federation in Germany (LSVD)によって、2007年6月にベルリンで設立されたわりと新しいLGBT人権基金です。
組織名は同性愛者解放運動の先駆者の1人マグヌス・ヒルシェフェルト(1868-1935)と、シエラレオネLGBT団体the Sierra Leone Lesbian and Gay Association (SLLGA)の創始者でオープンリー・レズビアン・アクティヴィストのファンヤン・エディFannyann Eddy (1974-2004殺害)に由来しているんですね。
その設立経緯からして、ジョグジャカルタ原則に力を入れているのは、さもありなんです。


このドイツ語訳はオンラインで公開されてるんじゃなくて、ファウンデーションにメールかメールフォームで予約して入手できるようです(上掲リンク参照)。
  
  

日本語

  
セクシュアリティと法の専門家であり、日本でのジョグジャカルタ原則の紹介者でもある谷口洋幸さんが、日本語訳を発表しています。
  
ジョグジャカルタ原則(性的指向および性別自認に関連する国際人権法の適用に関する原則)」『法とセクシュアリティ』2(2007.9), pp. 121-132.
参考:性的マイノリティと法研究会−機関紙『法とセクシュアリティ』
  
学術誌なんですよね・・・。オンラインで発表されてたら、誰でもいつでも参照できるのに。
ゲイジャパンニュースが翻訳を発表するって言ってたはずなのに。オンライン版の発表、やっぱり考えませんか?ねえ!
  
※2010年1月24日追記
追記が大変遅くなってしまいましたが、じつは、2009年10月に、ウィキペディアに「ジョグジャカルタ原則」の項目ができたんですよ!
執筆者であるLilykittyさんにご教示いただきました(ありがとうございました。レスが遅れて、申し訳ありません!)。
ジョグジャカルタ原則—ウィキペディア
  
この項目には、各原則の内容も簡潔な要約で紹介されています。
日本語ウェブ環境で簡単にアクセスできるジョグジャカルタ原則の紹介として、とても役に立ちそうです。

ネパール語 (ネパール語でなんて呼ぶんだろう・・・)


ネパールのLGBT団体、the Blue Diamond Societyネパール語訳、2007年8月11日にネパール国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)カトマンズ支局長を招待して公布式を行いました(関連エントリ)。国際的な人権基準を積極的に活用してゆこうとする姿勢がすごいですね。こうした努力が2007年12月のLGBT権利保障のための法整備の最高裁命令につながったのだろうと思いますが。


BDSのサイトにいちおうリンクはあるんですが、つながっていないので、いまのところオンラインでは見れなさそうです。
(なんでもネットでラクに見ようという根性がそもそも間違っているんだけど)

ペルシア語 (も、文字が読めない・・・)


اصول جوگ‌جاكارتا: اصول مربوط به شمول قوانين بين‌المللى حقوق بشر، در زمينه‌ى تمايل جنسى و هويت جنسيتى - بنیاد برومند


ワシントンに拠点を置くイラン人権団体The Abdorrahman Boroumand Foundation for the promotion of human rights and democracy in Iran (ABF)が、今年の国際反ホモフォビアの日(5月17日)に、ジョグジャカルタ原則のペルシア語訳を発表しました。


ABFは、現在のイランの人権侵害問題を扱うNGOですが(団体名は、1991年に処刑された法律家アブドルラフマン・ボルーマンドAbdorrahman Boroumand氏に由来するそうです)、その一環としてイランの性的少数者人権迫害にも注目し、ジョグジャカルタ原則のペルシア語訳に着手したわけですね。詳細は↓参照。


Addressing Homophobia in Iran - The Abdorrahman Boroumand Foundation

ポルトガル語 Principios de Yogyakarta


ジョグジャカルタ原則の普及活動にいつも前向きだった国は、ブラジルです。
2007年8月にLGBT団体・各種人権団体が一緒になって4都市でジョグジャカルタ原則公布式を開催したんですが(関連エントリ)、原則のポルトガル語訳も出されました。


Sexuality Policy Watchの↓以下のページに、ポルトガル語版(PDF)をダウンロードできるリンクがあります。


Principios de Yogyakarta - Sexuality Policy Watch
  

ルーマニア語 a Principiilor de la Yogyakarta

  
(2009年5月28日追記)
  
ルーマニアのLGBT人権組織Accept Romaniaが、ルーマニア語版を作ったそうです。
ブカレストで5月18−24日に開催された2009年Gay Festの一環として、22日、公布式が行われたとのこと。
Romania: Romanian version of the Yogyakarta Principles launched in Bucharest
- IGLHRC

  
Gay Festのプログラムから(ルーマニア語読める人〜)


Principiile de la Yogyakarta
  
În 2006, un grup de experţi în domeniul drepturilor omului s-au întâlnit la Yogyakarta (Indonezia) pentru a realiza un document care să sintetizeze principiile internaţionale privind drepturile omului pentru persoanele LGBT. Acest document a fost intitulat Principiile de la Yogyakarta şi este un ghid universal care conţine standarde legale internaţionale obligatorii pentru toate statele care au semnat şi ratificat documentele respective.
Principiile fac referire la obligaţiile de bază privind drepturile omului şi sunt însoţite de recomandări de implementare pentru autorităţi. Recomandările sunt adresate şi altor instituţii/organizaţii care influenţează respectarea drepturilor omului: ONGuri, mass media, sistemul Naţiunilor Unite privind drepturile omului.
Mai multe detalii despre acest document şi versiunile sale în alte limbi le găsiţi la www.yogyakartaprinciples.org
Asociaţia ACCEPT şi-a propus promovarea acestui document în România şi popularizarea lui în rândul principalilor actori privind apărarea drepturilor omului. În acest sens organizează în cadrul Gayfest 2009 lansarea publicaţiei în limba română şi organizarea unei dezbateri pe tema drepturilor persoanelor LGBT ca drepturi ale omului.
Evenimentul este realizat în parteneriat cu Consiliul Naţional pentru Combaterea Discriminării.
La eveniment participă, ca invitaţi speciali, membri ai Parlamentului European: Michael Cashman (Marea Britanie), Helene Goudin (Suedia), Michel Teychenne (Franţa); Boris Dittrich (director al programului pentru LGBT al Human Rights Watch, fost parlamentar în Parlamentul Olandei).
Participanţi: reprezentanţi ai organizaţiilor neguvernamentale din România care lucrează în domeniul drepturilor omului şi non-discriminării, reprezentanţi ai instituţiilor guvernamentale şi membri ai parlamentului, membri ai comunităţii LGBT din România.
Documentul a fost tradus şi editat în limba română de Adrian Coman, Iustina Ionescu, Romaniţa Iordache şi Mona Nicoară.
Îi mulţumim domnului Adrian Coman pentru implicarea sa în realizarea acestui eveniment!
Intrarea se face pe bază de invitaţie. Cei interesaţi să participe ne pot contacta la tel 021 252 90 00.
  
http://www.gay-fest.ro/fest09programRO.htm