HRW−ジョグジャカルタ原則国連公布式レポート・フルバージョン!!


「性的指向と性自認の問題に対する国際人権法の適用に関するジョグジャカルタ原則」


りょうた「11月7日国連総会ジョグジャカルタ原則公布式として行われたパネル・ディスカッションのフルバージョンといえるレポートがヒューマン・ライツ・ウォッチから出ましてワールドワイドウェブを駆け巡っておりますよ!」
りょうきち「てかPinkNews.ukからもレポートが出てるし、レポートするすると言っていたわりに、かなりサボリ感があった今日このごろ」
りょうた「まあ時間がなくて、つい」
りょうきち「カルヴァン・クラインのパンツ画像をかき集める時間はあったけどな」
りょうた「(無視)と、いうわけで、HRWレポートのSummary of Panel Discussion on the Yogyakarta Principlesを整理して(ヘタ)訳してみました。基本全訳ですが、分かりやすく章分けして、小見出しはオレがつけてます。こんな感じっすねー」


1. ジョグジャカルタ原則に関するパネルディスカッション:概要
  • 日時
  • 司会
  • パネリスト
  • 後援
  • 主催NGO
  • 参加者
2. パネル・ディスカッション
  1. 司会:ジョグジャカルタ原則の概観
  2. LGBT人権問題とジョグジャカルタ原則〜メアリー・ロビンソンMary Robinson(元国連人権高等弁務官)
  3. ブラジルにおけるLGBT人権促進の試み〜Ana Lucy Cabral(ブラジル外務省人権社会問題局長)
  4. アルゼンチンにおけるLGBT人権促進の試み〜Federico Villegas Beltr?n(アルゼンチン対外関係国際商務省人権局長)
  5. ウルグアイでのLGBT人権促進の試み〜Dianela Pi(国連ウルグアイ政府代表部・第3委員会第1書記)
  6. HIV/AIDS対策とジョグジャカルタ原則〜Miriam Maluwa(国連エイズ計画(UNAIDS)ジャマイカバハマキューバ代表)
  7. 世界の司法制度とジョグジャカルタ原則〜Philip Dayle(国際法律家委員会(ICJ)リーガル・オフィサー)
  8. ブラジルにおけるLGBT差別撤廃とジョグジャカルタ原則〜Sonia Correa(ブラジルAIDS学際連合(ABIA)セクシュアリティ・ポリシー・ウォッチ(Sexuality Policy Watch)
  9. ジョグジャカルタ原則に対する国連の所感・国連人権高等弁務官の声明〜Craig Mokhiber(国連人権高等弁務官事務所)
  10. 欧州議会LGBT人権内部組織からの支持表明書簡
3. 参加者のコメント・質問
  1. チリ代表:ジョグジャカルタ原則の実践の問題=原則24・家族を構成する権利について
  2. オランダ代表コメント:オランダにおける外交・国内政策でのジョグジャカルタ原則採用の動き
  3. フランス代表質問:国連におけるLGBT組織の活動の問題
  4. Transgender Europe代表質問:ジョグジャカルタ原則の実践をめぐる今後の課題
4. 閉会

りょうた「概要ですが、パネル・ディスカッションは1時間25分と適度にコンパクト。参加者100人強、加盟国代表からの参加は共催3カ国プラス17カ国」
りょうきち「予想はついてたが、結局、それほどの規模にはならなかったな。どの国の代表から参加があった?」
りょうた「まず共催国のアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ
中南米からチリ、ガイアナ、メキシコ、ペルー
北米からカナダ、USA
西欧からオーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、UK、オランダ。北欧ノルウェイフィンランドスウェーデン
アジアからは、スリランカだけ」
りょうきち「…アジア・中東・アフリカ・東欧は、みごとに壊滅か」
りょうた「あと、欧州議会ローマ教皇庁の参加もありました」
りょうきち「日本は?
りょうた「ナシです
りょうきち「怒」
りょうた「怒」
りょうきち「ほかにもイラン人レズビアン難民ペガーさんの救援で政府レベルの活躍を見せたイタリアが参加してなかったり、関心の薄さ、ぶっちゃけ知名度の反映かなあ」
りょうた「でも、ディスカッションはかなり充実してたもようです。てか、ジョグジャカルタ原則ウォッチャーのオレから見ると、的確に要点を押さえた内容だね。
パネル・ディスカッション(2-3)(2-4)(2-5)は、共催3カ国ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの政府サイドから、各国でのLGBT人権問題政策とジョグジャカルタ原則の関係について。
次に、ジョグジャカルタ原則の可能性について、3つの専門的なアスペクトからの発表。つまり−
(2-6)はUNAIDSがHIV/AIDS政策の観点から。
(2-7)は国際法律家委員会が法的な観点から。
(2-8)はブラジルのNGONGO活動の観点から。
最後(2-9)は、国連人権高等弁務官事務所から、国連とジョグジャカルタ原則。ジョグジャカルタ原則が今後どれほど国連内部で認知されてゆくか、(リップサービスかもしんないけど)希望が持たせられるようなこと言ってます。(2-10)は、欧州議会からの支持表明の書簡の紹介です。
質問・コメントも、問題をまんべんなく押さえた感じで、かなり充実。(3-1)(3-2)は、国内での実践のノウハウについて、(3-3)は、国連でのLGBT団体がどれほど活動を広げられるかって議論が出ました。(3-4)は、ジョグジャカルタ原則をどう実践的ツールに変換してくかって、今後の展望の問題だね」
りょうきち「ほんとに1時間半弱で収まったのかという盛り沢山ぶり」
りょうた「俺個人は特に(3-1)、家族を構成する権利=原則24についての議論が要注目だった。俺には目から鱗というか、自分がバカだったことに気づかされる内容でした」
りょうきち「そんなこと、このブログが始まった日から分かってただろう」
りょうた「(無視)つまりですね−気づいてなかったんですよ、ジョグジャカルタ原則には、『結婚の権利』が入っていないってことに」
りょうきち「全 訳 しといて気づかなかったのか。ほんとうにバカてかほんとにジョグジャカルタ原則ウォッチャー?
りょうた「ヒドイ」
りょうきち「ジョグジャカルタ原則は、『結婚』の問題を『家族を構成する権利』の中に開いているわけだよ。それで『結婚は両性の合意による』という、多くの伝統文化・制度にある規約との衝突を回避しているし、異性カップルまたは同性カップルに縛られない多様な家族形態の可能性を確保しているとも言える。ジョグジャカルタ原則がそこまで考えていないと思うたか!」
りょうた「アタシがアサハカでしたッ!許してッ!」
りょうきち「で、このパネル・ディスカッション、結論を一言で言えば、『次のステップがジョグジャカルタ原則の実践的ツール化』ということかな」
りょうた「国際法律家委員会のパネラーからも、『ジョグジャカルタ原則はただの"抱負を示した文書"ではなく、"専門家による国際人権法の権威ある解釈"である』と強調されているように、ジョグジャカルタ原則は、法的に揺るぎない原則として依拠してよいものです(むろん、今後の更新・改訂の必要もあることも、最初から書き込まれていますが)。でも、じゃあ具体的にどう実行するか、については、何も規定してないのね。『必要なあらゆる行政上・司法上の対策を取る』だけで」
りょうきち「ジョグジャカルタ原則に保障された権利の平等を、どう実現するのかは、全部国ごと社会ごとの課題なんだな。結局、LGBTがどんな生を望むかという、社会設計・生活設計の問題に返ってくるわけだ。でも、ジョグジャカルタ原則がグローバル・オブリゲーションとして認められれば、その議論や対話もある程度やりやすくなるだろうな」
りょうた「もう政府レベルでジョグジャカルタ原則に関心を向けている国も出てるようだし、日本やアジアでも、LGBTについての問題は、ジョグジャカルタ原則を常に参照しつつ議論するのが習慣化するといいかもしれないね」
りょうきち「先日グラスゴー大学で開催された学会「LGBTの人権をめぐるグローバル政治学」でも議論されたという、『"人権の普遍性"という思想のあやうさ』も忘れずに勘案して、ジョグジャカルタ原則にどんな『実践』を支えられるのか、考えていく必要があるんだろうな。
ま、グダグダ言ってないで、実際にディスカッションの様子を見てみましょう」


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