19歳イラン人ゲイ、2月26日オランダから英国へ送還、イランへ強制送還の恐れ


※2月21日、事情説明、およびオンライン署名についての情報を追記しました。
※2月25日、続報です。→こちらをごらん下さい!


id: tummygirlさんのエントリFemTumYum -処刑か餓死かに教えていただきましたー


現在オランダにいる19歳のイラン人ゲイ、メフディ・カゼミMehdi Kazemiさんが、2月26日、もといた英国に送還されようとしています。
メフディさんは、英国で難民申請を却下されており、英国に送還されると、同性愛を法的に禁じるイランへ送還される危険が高くなります。
メフディさんがイランで交際していた恋人は、2006年に逮捕・処刑されており、彼の名もすでに当局に知られている可能性が高く、彼の送還は生命の危険に繋がります。
彼は送還に抵抗して、ハンガーストライキを決行中だと伝えられています。

メフディさんについての関連ニュース

UK Gay News

19歳のゲイのイラン人青年が、英国への強制送還の可能性に抗議して滞在先のオランダでハンガー・ストライキを開始。


UK Gay Newsは、メフディ・カゼミさんの難民申請却下・英国出国からオランダでの拘束・送還決定までの経緯をフォローしてきており、上掲リンクのニュース末尾の関連リンクから、事件の経過に関する各詳細ニュースを参照することができます。


2007年9月、アフマディネジャド大統領が国連本部で「イランに同性愛者はいない」という発言をしたとき(参考エントリ)、メフディさんがオランダからカナダのイラン系LGBT支援組織IRQQ宛に送った抗議表明のメール。
19歳の青年が言う、「僕はイラン人ゲイだ」(Nineteen Year Old Says: ‘I Am an Iranian Gay’)

メフディ・カゼミさんが、同性愛者として難民申請をした理由


(以下は、IRQQサイトに掲載された、メフディさん自身による事情説明の要約です)


メフディ・カゼミさんは、1988年テヘラン生まれ。2005年9月、17歳のときに、父親の勧めで、6ヶ月のスチューデント・ビザ(2006年3月まで)で、英国へ留学しました。最初の2ヶ月はロンドンの伯父の家からLeicester Square School of Englishの英語コースに通い、その後ブライトンへ移って、Embassy CES Collegeに入りました。2006年2月、ビザを更新しています(2006年11月まで)。



テヘランでの高校時代、メフディさんは、クラスメイトのParhamさんと付き合っており、渡英後もメールで連絡を取っていました。しかし、2005年12月ごろ、Parhamさんからの連絡が途絶えます。

2006年3月末、メフディさんは伯父を通し、メフディさんの恋人がイランで逮捕され、メフディさんの名も当局に知られた、というテヘランの父親の知らせを受け取りました。当局はメフディさんを探して父親の家を訪れ、父親はこの状況に恐慌を来たし、激怒していました(英国生活の長い伯父は、メフディさんを受け入れました)。



2006年4月末ごろ、再びテヘランの父親から、Parhamさんが処刑されたという知らせが届きました。メフディさんはイランに戻ってはいけない、というのはもはや明白で、父親の願いでもありました。

メフディさんは英国で難民申請をしました。が、彼の申請は、英国内務省により却下されました。学生ビザも切れており、イランへの送還の危険に直面したメフディさんは、2007年4月、カナダを目指して英国を出ました。が、オランダで拘束され、昨年12月、オランダの法廷はメフディさんの英国送還の判決を出しました。


オランダ外務省への嘆願メール、オンライン署名の呼びかけ


現在のところ、メフディ・カゼミさんを支援する団体・ネットワークの存在は、確認できていません。
メフディさんの窮地は、おそらく、ほとんど知られていませんでした。
19歳の青年が、ハンガーストライキをするほど追いつめられるというのは、ただごとではないと思います。
現在、インターネットでは、メフディさんの送還取りやめを求めるさまざまな試みが行われようとしています。

オランダ外務省への嘆願メールの送付

Pinknews.ukのコメント欄で、Bill Perdueさんが、オランダ外務省ビザ・移民・外国人局へ、メフディさん英国送還取り消しを訴えるメールを送るよう、呼びかけています(2月19日付)。


 メフディ・カゼミに関する抗議または嘆願の手紙をオランダ外務省ビザ・移民・外国人局Division of Aliens, Visas the Movement of Persons, Migration and Alien Affairs Department (DPV/VV)に送り、メフディ・カゼミをオランダに難民として受け入れ、EU法廷にその決定を通達して、彼の命を救うよう、訴えてください。
メフディはイランへの送還を恐れて英国を去り、オランダに行きました。オランダ政府は彼を今月26日に送還する予定です。これについて、オランダ政府に注意を送ってください。英国内務省は恐らく彼をイランに送還しようとしており、彼は拷問を受け、死刑に処されるかもしれません。


オランダ外務省HP(英語)  http://www.minbuza.nl/en/home

Aliens and Visas Division (DPV/VV)
http://www.minbuza.nl/en/ministry,organisational_structure/Policy-Theme-Departments.html#a11


下手な文章ですが、僕はこのようなメールを送りました。

オンライン署名

同じく、Pinknews.ukのコメント欄OMAR KUDDUSさんが、オンライン署名を立ち上げています。


署名メージ:Save MAHDI in UK petition
署名者リスト:Signatures


署名呼びかけの声明文は、id: nofrillsさんが、正確な日本語に訳してくださっています。
tnfuk?イラン人男性の英国による強制送還の可能性をめぐるオンライン署名の日本語化
英国のイミグレーションや難民問題に詳しいnofrillsさんが、豊富な知見に基づきこのケースの背景を分析しておられる追記は必読です。メフディさんの経歴や、難民申請にいたる事情についても、当エントリより詳しい情報をまとめておられます。ぜひお読み下さい。


署名方法は、

  • 署名ページの末尾の「Name」「e-mail」「Comment」に記入。「Comment」は任意、「Name」「e-mail」は必須です。「Display my name as anonymous on the signatures list」をクリックすると、署名者リストに名前は出ません(「匿名」になります)。
  • Sign Petition」のボタンを押す。
  • その後で、iPetitionサイトへの寄付(メフディさんへのではない)を求めるページに行きますが、寄付の意志がなければ、無視してかまいません。自分の署名が登録されたかどうかは、署名者リストSignaturesで確認出来ます。


メフディさんは今どうしているのか?弁護士もなく、そこまで孤立しているのか?
まだ不明な点も多いです。
僕も諸事情で現在できることに限界があり、関連情報の詳細を日本語訳して紹介するなど、十分なフォローができません(すみません)。
メフディさんの境遇に関心を持った方は、それぞれにやっても良いと思われたことを、してあげてください。



性的少数者の人権を護る「ジョグジャカルタ原則」には、難民庇護を求める権利THE RIGHT TO SEEK ASYLUM (第23原則)が含まれています。
オランダ政府は、ジョグジャカルタ原則への支持を表明しているはず。ぜひここでそれを発揮して欲しいです。



The Yogyakarta Principles on the Application of International Human Rights Law in relation to Sexual Orientation and Gender Identity, adopted by a group of 29 experts on international human rights law in 2006, ensures “THE RIGHT TO SEEK ASYLUM”(PRINCIPLE 23.) and calls upon states to “ensure that no person is removed, expelled or extradited to any State where that person may face a well-founded fear of torture, persecution, or any other form of cruel, inhuman or degrading treatment or punishment, on the basis of that person’s sexual orientation or gender identity”(Principle 23[c]).