C. Saura, Tango (1998)


ちょっと、目の保養(?)とか。


ダンスのことはよく分からないけれど、タンゴって、2人の人間の交わりを突き詰めに突き詰めて様式化したダンスなのかなあと感じる。


対になって踊る2人のあいだに演じられる関係(概して男と女)を、あそこまで意識してドギマギさせられるダンスもないような気がする。あの体の近さ、絡まりかた、エロティックさ、恐ろしく濃い愛と欲望の表現に見えるけれど、踊っている2人は欲望し合う以上に憎み合っているようでもあり、戦っているようでもあり。
誰かを欲望してしまうともう一瞬の平安もないんだという、考えるだに気が滅入る人間の業のようなものを、もの凄い様式美にして踊っている、そんなふうに感じられてしまう(ぜんぜん違うのかもしれないけど)。だからタンゴってあんまり見るの好きじゃない、しんどい、疲れる(なんだそりゃ)。
こんなダンスを生み出してしまう文化って、どんな文化なんだろうと不思議に思う。


スペインの映画監督C.サウラがアルゼンチンを舞台に撮った『タンゴ』。
ミュージカル・ショーの製作過程に、男女のドラマが絡まり、そしてアルゼンチンの現代史が浮かび上がる。


goo映画ータンゴ(1998)


次から次へとスタイリッシュなタンゴで表現される人間と人間の濃密でエロティックな交わりの中には、当然、女と女の交わり、男と男の交わりもある。


最良の男と男のタンゴかどうかは、分からないけれど。
週末の深夜に,一緒にドギマギしましょう(笑)。


Tango Saura Julio Bocca Carlos Rivarola