8月11日・第6回東京プライド・パレード@原宿


昨日は快晴のパレード、僕は相方・友人と見物に参加した。


のだが


カメラ忘れた消えてなくなれ俺。


というわけで、以下は文字だけの、つまらんレポートです。


今年のパレードは、僕にとってちょっと変わったものになった。
東京を離れて久しい僕は、なかなか東京のイベントに出て行くきっかけがない。でもせっかくだからパレードには行こう、と相方と決めていた。
そのころ、東京のノンケの友人と連絡を取った。学生時代、僕が親しい友人にカミングアウトできたのは、彼らが僕を支えてくれたおかげ、という何人かの1人だ。
今ではなかなか顔を見る機会がない。久しぶりに会いたいな、という話になったので、よかったら、一緒にパレードに行かないか?と誘った。
相方も承知してくれ、初めての「ノンケ友と一緒のパレード」になった。


僕らは少し長旅なので、昼すぎ頃に会場で待ち合わせ。
オープニングイベントのブラスバンドが聞こえてくる中、代々木公園に到着。
友人夫婦(2人は学生時代からカップル)はシンポジウム「HIVエイズから見たセクシュアリティ」 から来ていたという。
とにかくフロート登録を、と登録コーナーに行くが、歩くと1つのフロートの行列から外に出れないし、他のフロートの見物ができない。沿道の方が良くないか?ということになった。友人にはパレードのいろんな側面を見てもらいたいし、考えてみたら僕もパレード全体を俯瞰したことってないのだ。


今年はパレードを歩いた人2800人、沿道応援1500人の過去最多(ファイナル・イベントで報告された)だったそうだが、僕らは1500人の一部になった。



イベント・ブースを見て回り、日陰で休み、「青年の主張LGBT版」の途中から野外ステージ会場に戻る。
それにしても暑い。ここまで「どうにかなってしまう」という感じの暑さだと、逆に「もうどうとでもしてくれ」というヤケのようなエネルギーが湧かないでもないが、それができるのも体力がある人間だけだ。
「高齢者・体が弱い人間も参加できる時期にパレードを」という主張は、頭を冷やして考えると、とても大切。


LGBTの家族と友人をつなぐ会」代表・清水さんの話が良かった。「正しく理解して欲しい」と本を手渡して親にカミングアウトしたという高校生のゲイの息子さんの強さにも驚いたが(僕にはとてもそんなことは無理だ)、息子を受け止めた母親の清水さんの一言一言が胸に残った。自分は何も知らなかった。誰も教えてくれない自分のセクシュアリティについて、息子はインターネットで自分で調べていた。「中学生の時からいつもコンピューターに向かっていた理由が分かった」。
LGBTの家族と友人をつなぐ会」は、性的少数者の子どもに関する講演の申し入れを、これまで400校の学校に送ったという。「学校の先生が頼りです」という言葉が重い。


ステージイベントの司会は斎藤靖紀さん(と、あと1方、名前忘れた、すみません)で、ゲイゲイしいトークは相変わらず。一億六千万の借金(!)がある西原理恵子が「サインでもなんでもします」と言うと、「そんなこと言っちゃズウズウしいオカマがなにするか分かりませんよ〜」。田亀源五郎さんが「オカマという言葉の復権には斎藤靖紀さんの功績が大きい」と語っていたけれど、あれ本当かもと実感。



2時半からパレード出発セレモニー(フロート紹介やゲストのマンガ家・西原理恵子トーク)。3時から整列開始で3時半出発。


せっかく「パレード見物」に徹したので、あとはフロートの感想にしてみよう。ただし、もう記憶がごっちゃになってきているので(どのフロートにどのグループがいたとか)、甚大な間違いも多々ある予定です,注意。


東京プライド・パレード公式サイト−パレード出展フロート紹介


フロート1「TPPプライド号」(パレード実行委員会主宰)は、ゲイ友に会って立ち話したり右往左往しているうちに完全に見逃す。


フロート2「Brass MIX!」
パレードおなじみレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーヘテロセクシュアル巨大ブラバン。きれいな青のTシャツ、バトン隊のパフォーマンス、ペットボトルの袋を下げた給水スタッフ、慣れたもので、さすがの貫禄(?)。


しかし、この炎天下、(ものによっては)灼けるようになった楽器を抱え、交通整理に何度も足止めされながら、その間ずっと途切れることなく演奏し続けだ。ものすごい労苦だったと思う。


レパートリーの1つは「世界に1つだけの花」。当然SMAPではなく槙原バージョンのつもりで聴く。


フロート3「TOKYO GAY NIGHT GROUP」
いつも趣向をこらした演出のゲイナイトGET GROUP主宰のフロート。
テーマが「ラグジュアリー」と言うとおり、深紅のカーテン・鏡・シャンパンというやりすぎ感あふれるフロートの上、セクシーなパフォーマーが踊る踊る。
パレード後「半分女装」と斉藤司会に言われてたが、ドラアグとGOGOを色っぽく融合させたようなパフォーマンスはなかなかの傑作。一般通行人の視線が気になるのとやっぱパレードはこうでなきゃという思いのあいだで懊悩する(笑)。


後続のドラアグ、カッコいいレザーメンの手に翩翻とひるがえるレザー・プライド・フラッグ、みなカッコよかった。


フロート4「学生フロート」
Rainbow College主宰。さすが学生、元気いいフロート。同性婚、反ホモフォビア、プラカードもいっぱい。
僕が一番気に入ったプラカードは、「待ってるぞ、高校生」
これは個人差のあることだけれど、僕の「デビュー」は大学に入ってからで、それまでは一歩も足を踏み出せなかった。家族と学校とバイト先の狭い世界がすべてで、そこから疎外されようものなら生きていけない、という思いがあった。
だが、大学からは「自分で選ぶ世界」だ。自分が生きる場所は自分で選べる−現実にはそう上手く行ったわけではないが、そういう思い込みは、僕をとても勇気づけた。また大学は、多数の意見=常識になる社会より、「道理」が通る場だとも思っていた。今思えば単純な考えだが、実際こうしてパレードを一緒に見物している友人を得たのも、やはり大学である。
だから「待ってるぞ」と言いたい意味が僕にはとてもよく分かったし、そのメッセージが誰かにも伝わっていればな、と心から思った。


フロート5「Moist」
LOVE PIECE CLUB、PA/F SPACE、C&S、笹野みちるさんの赤坂FANGSONG CAFEなど、女性・レズビアンバイセクシュアルコミュニティ関連組織主宰。
ラベンダー色で統一されたフロート、風船がきれいだ。僕はゲイ女子文化に触れる機会が絶無にちかいが、おだやかな感じがいい。欲を言えば、フロートに合った鳴り物(音楽)があった方が見てて楽しかったかな?


フロート6「TPPレインボー号」
パレード実行委員会主宰。先頭はセクシュアル・マイノリティのキリスト者団体「キリストの風」(主宰・平良愛香牧師)だ。平良牧師は、自分が通う教会の牧師にカミングアウトした時、「神は君を、そういうふうにお造りになったんだね」と言われたという。
ゲイリーマンさんのレインボープライド愛媛のボードを見たのも確かここ(記憶混濁!)。「地方にも同性愛者はいます」というメッセージに、プライド愛媛の「地道な地方単位の努力」を感じる。
アカー(OCCUR)がプレイベント会場で作っていた手作りボンボンがいい感じに映えていた。




4時を過ぎると少し日差しが陰ったのか、「どうなってしまうんだ」というギラギラ感は少し和らぐ。



今年の音楽フロートは、M☆night主宰の
フロート7「みんなで! あゆフロート」
ドラアグあゆのステージが、続く
フロート8「新宿二丁目振興会」
のドラアグ・ピンクレディーと一緒に盛り上がる盛り上がる。でも7と8の間に20年ぐらいの開きがあるんじゃあ…。


フロート9「The Ring」
ゲイミックスパーティーThe Ring主宰。パワフルなライブ、そして参加者の男前度が高い!?(笑)


フロート10「LIVING TOGETHERフロート」
HIV啓発プロジェクトLiving Together計画 リアリティ作戦本部主宰。僕は水分の調達に行っていて、このフロートもほとんど見のがしたと思う。青地に「real」の旗が印象的だった。ファイナル・イベントの時に見た尾辻かな子さんはこのrealTシャツを着ていたから、このフロートで歩いていたんだろうか?
(追記:間違い。尾辻さんは僕らが見逃した第1フロートにいたそうだ。)




5時近く。終点の代々木公園まぢか。和らいでいたと思った陽射しが、最後の正念場という感じの西陽の直撃に変わっている。


フロート11「DIAMOND CUTTER」
「日本最大級のウーマンオンリーパーティーDIAMOND CUTTER主宰。
うわお、セクシー、ゴージャス。
ドラアグを女子なセンスでアレンジすると、エッジの効いたおしゃれになる、という感じだ。レズビアン/バイ女子カルチャーのとってもゲイゲイしくセクシーな一面?と思いながら観る。


フロート12「TPPプロローグ号〜No Photo!」
パレード実行委員会主宰の撮影禁止フロート。
最後のフロート。決して人数は多くない。撮影を拒みつつ歩く、というのは、それじたい強い主張だと思う。「不可視であることの可視化」と、友人が言った。




フロートを追って代々木公園に辿り着くと、Brass MIX!の穏やかな「お帰り演奏」にテンパった頭がすーっと癒される心地になる。


4:30帰着予定が約30分遅れて5:00ごろ。一般車両を通しながらだったから、仕方ないだろう。酷暑の中1時間半みっちり歩いた人たち、お疲れさまである。
フロートを通しては車を通す、という面倒な交通整理に神経を尖らせていた警察関係者にも、土曜日の混雑した原宿で渋滞に遭遇してしまった一般車両や歩行者も、ありがとう、すみません、という気持ちだ。


5時半からファイナル・イベント。
パレードに参加した政治家の挨拶。
これから開催される札幌、関西のパレード実行委員会の挨拶。
最後のショウは、有名ドラアグ・クィーン、ゲイ・パフォーマーが続々登場。


シモーヌ深雪を初めて見た。
顔は見れなかったけど。


ボランティア・スタッフへのねぎらいとともに、「また来年!」の声で(最後の最後でちょっとコケた)パレードは終わり。


僕らは渋谷方面へ。居酒屋に飛び込み、冷えたビールのジョッキを手にして、大きく息をつく。あまり遅くまではいられなかったが(僕も相方も翌日仕事だったのだ)、残った時間を惜しんで一日の感想を語り合う。


また来るよ、と友人が言う。彼女の方はプライドのリストバンドを買っていた。家に帰るまで外さないよ、と言う言葉が、なんだかとても嬉しかった。