ユル・ブリンナーのヌードby ジョージ・プラット・ラインス


ジョージ・プラット・ラインス(1907-1955)が撮ったユル・ブリンナー


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1942年の作品だから、1941年にブリンナーが俳優になるためアメリカに移住してすぐのころだ。ユル・ブリンナーというとシェイブンヘッドがトレードマークのフェロモン系、というイメージしかなかったが、若い(髪もある)彼は優雅でダンサーみたいだ。サハリン出身でモンゴル人の血も持つブリンナーは、野性的でエキゾチックな魅力を持つ『王様と私』のシャム王を最大の当たり役とすることになる。ラインスのカメラは、ブリンナーの性的魅力を、スタイリッシュな美しさでみごとにとらえている。


ジョージ・プラット・ラインスは1930-40年代に『ヴォーグ』や『ハーパース・バザール』などの有名ファッション雑誌で活躍したコマーシャル・フォトグラファーであり、ニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサーの写真が有名だが、もっとも情熱を注いだのは男性像だった。20年以上にわたり撮り続けたヌードは、生前にはほとんど公開されなかった。glbtqはラインスを、エロティックな男性ヌードがタブーで違法だった時代、性的主題を超越した独創性を持つ美しい男性ヌードを創った真のパイオニアだったと評している。
George Platt Lynes-Wikipedia, Free Encyclopedia



性科学者キンゼイはラインスのゲイエロティック作品のコレクターだった。 The Kinsey Instituteは世界一のラインスのコレクションを所蔵している。


キンゼイ・インスティテューションで行われたラインスのバレエ写真の展示のオンライン・ギャラリー
The Kinsey Institue-George Balanchine and his Dancers: The Ballet Photographs of George Platt Lynes


ラインスの男性ヌードはオンラインで豊富に見ることができる。これはそのごく一部。
Queer Art Organization-Archive-The Photography of George Platt Lynes
Wessel + O'Connor Fine Art-Past Exhibits-George Platt Lynes
Clampart- George Platt Lynes


ラインスはNYのアート界に影響力を持つゲイ・コネクションの中にいた。写真家としてキャリアを開始するまえ訪れたフランスでは、ジャン・コクトーとも親交を持っている。
ノンケのブリンナーがラインスのヌード・コレクションのモデルとなった経緯は分からない。だが、この美しくてカッコよくてエロい写真は、紛れもなくブリンナーの栄誉だと僕は思う。