政治家だって考えてないわけじゃない


名ゲイブロガーゲイリーマンのカミングアウト的思考さんが、愛媛県議に対して行った同性愛に関するアンケートの回答をレポートをしておられる。


レインボープライド愛媛―同性愛者らに対する政策について四国松山を選挙区とする政治家にアンケートしてみよう!


いつもながら、こういうアンケートを地道に行っているアクティビスト達の活動には、本当に頭が下がる。
回答者は現在6名だが、回答を読むと、同性愛者人権問題に優れた見解を持っている議員が意外に(というのも失礼だが)いることが分かったりする。


アンケート質問は,以下の通り。

(1) 同性愛者に対する人権は認められるべきものと考えますか?
(2) 同性愛者の人権を守る施策の必要性を感じますか?
(3) もし家族や友人から同性愛者であることを告白(カミングアウト)されたらどのように感じますか?
(4) 私たちの多くは10代の思春期において性の目覚めとともに同性愛者であることを自覚するものが多く自分が他と違うことに気がつき孤独となりがちです。同性愛者への偏見は子供たちにも根付いており、イジメにつながる要因でもあります。クラスには1,2名いると言われている同性愛者など性的少数者を想定した学校教育の必要性についてお聞きします。
(5) 愛媛県内の公営住宅では複数人員で入居する場合、男女の夫婦や家族同士でないと入居することが出来ません。同性愛者のカップルの場合、公営住宅には入れないのですがどう思われますか?
(6) 私たちも愛するもの同士で人生を共に歩んでいきたいと考えています。同性結婚、もしくは同性パートナー制度(結婚と同等の社会的権利を得る、現在は相続、社会保障などで大変な不便があります)についてどのように思われますか?
(7) 男性同性愛者は「献血」が出来ないことになっています。どのように思われますか?
(8) 性感染症の感染拡大が深刻化していますが、最近は10代の感染増加も問題視されています。HIV/AIDSなどの性感染症の予防対策についてどのようにお考えでしょうか?


回答者6議員の中で、豊田 康志さん(公明党新政クラブ 新居浜市選挙区)のみが

(1) 同性愛者に対する人権は認められるべきものと考えますか?
【D】答えられない/分からない


と、人権の観念すら覆す勢いの同性愛否定的主張を貫いておられるが、他の5名の議員の同性愛についての考えは、だいたいが肯定的・積極的だ。これらの議員の言葉は、もっと人目に触れるべきだと思う。一部をあげてみる。

(2) 同性愛者の人権を守る施策の必要性を感じますか?
佐々木 泉さん(愛媛県議会日本共産党議員団 松山市選挙区)【A】必要だ→どんな施策や啓発がよいかわかりませんが、異性愛と同じように同性愛が正常なものであり、幸福になる権利があること、それは、人間と人間の相互尊重と信頼にもとづくものであること、いっさいの差別行為を許さないことなどを、いじめや暴力を憎む心とともにはぐくむことではないかと考えます。
豊島 美知さん(民主党 今治市越智郡選挙区)【A】必要だ→人権感覚の無さや無知に起因していると思う。自分の知らない領域への拒絶反応というのは、結構すさまじいものがある。施策や啓発は何が最も必要なのかを当事者と検討しながら進めるべき

「人権は皆にある、同性愛者にだけ特別な施策は必要ない」という論法もありえるところを(そういう回答者も1人あり)、同性愛者に対しては社会の人権感覚が明らかに一段下がっている現状をきちんと認めている回答が頼もしい。


しかし、

(3) もし家族や友人から同性愛者であることを告白(カミングアウト)されたらどのように感じますか?

については答えが割れて、【A】応援したいと即答したのが2人、【D】答えられない/分からない2人、【E】その他2人で、【E】の1人は友人のカミングアウトを受け入れた経験を語っている。身近な同性愛者を受け入れるべきだ、という意志がなんとなく弱く、同性愛者の身近な人へのカミングアウトをさらに躊躇わせるような回答になっているのが、悲しい。

笹岡 博之さん(公明党新政クラブ 松山市選挙区)【E】その他 →仮定の話に回答は難しい。正直、戸惑うと思う。相手の話をじっくり聞くことからはじめるしかないでしょうが、そのことで悩み、苦しんできたのなら、理解をしてあげたい。

こういう、「苦しんでたら理解する」みたいな考え方も、?。「苦しんでなきゃダメ」と言われてる気分。


こういうアンケートをまめにチェックすると、「どうせ政治家なんか何も考えちゃいない」という考えが改まって驚く。
「だってそんなアンケート、どうせ口当たりのいいこと答えてるだけでしょ?」という見かたももちろんある。
しかし、幸い、「政治家は公的な発言を(滅多なことでは)翻せない」というお約束もある。こういうアンケート結果を多くの人がチェックしておくことは、彼らから「言質を取る」ことになる。


ゲイリーマンさん、お疲れさまでした。これからもがんばってください。


7月の選挙に向けては、こちらを要チェック。
フォーラム・アクエリアス
「オ−バー・ザ・レインボー・プロジェクト」PART8―2007参議院議員選挙立候補予定者「同性愛者の人権」アンケート調査