倖田來未「BUT」の件でエイベックスに絡む(笑)
一昨日のエントリで「同性愛をテーマにした」倖田來未の新曲「BUT」にブツブツと愚痴を呟いたが、同じようなことを考える人はいたみたい。
紹介されていた彼女のコメント記事に「好きになったら性別は関係ない」的なことが書かれていたんですが、うーん……。
なんか、引っ掛かるんですよね、これ。
きっと、同性愛者も差別されることなく異性愛者と同列に人権が守られるべきだ、的なことを言いたいと思うんですけど「愛に性別は関係ない」って言っちゃうと、どうも同性愛者にファンタジーを押し付けているという感じがしてしまうんですよね…。
ていうか、同性愛者って言われるくらいなんだから、同性を性愛の対象とするわけで、その時点で言葉は悪いかもしれませんが異性と選り分けているんだから、性別は大いに関係してると思うんだけどなぁ…。
(略)
でも、これだけ人気のアーティストがメディアで「同性愛をテーマにしました」ってことを堂々と言うのは、そういう人たちもいるんだなぁ、って知ってもらう機会にもなるだろうし、色々とプラスに働く面もあると思うので、頑張って欲しいです。
asagi-kのもやもや日記
こういう違和感は、ハッキリ言っていくべきだよなとやはり思う。
レズビアン・イメージを「拝借」し、これから期待株(?)のゲイフレンドリー・イメージで「売りたがって(儲けたがって)」いるのは向こうなのだから。
マスメディアでは見えないところにホントは大勢いる、何の見返りも求めずレズビアン・ゲイをサポートしてくれるゲイフレンドリーな人たち*1とはやっていることが違う。それを利用して稼ごうとしてるんだから。ヒシヒシ違和感を感じるのに、黙って利用されているなんて、馬鹿げている。
もちろん、倖田來未が大好きなレズビアン・ゲイは大勢いる。彼女に「テーマは同性愛!」と言われるとうれしい。でも、今の世界じゃゲイフレンドリーなアーティストは大勢いるし、ハイレベルのクィア・パフォーマンス・アートも数限りなくある。その多くは確かに(日本国内では)マイナーで、メジャーで評価されるのは難しい。が、だからといって、メジャーだったら適当でも違和感あっても我慢する、という話にはならない。
「抗議」とか、めんどくさいことはしなくてもいい。そもそも最初からそういう話じゃない。ブログでもコメントでも掲示板でも、いちリスナーとして「評価」すればいい。「なにアレ?ブリトニーの次はマドンナ狙ってんの?残念だけど、足元にも及ばないよ」*2
さて、ここから突然、エイベックスに対する絡みモードに入るわけですが。
一般リスナーってのは、普通アーティストしか見ていなくて、その背後に隠れているプロモーション会社のことは目に入らないものですが。アーティストのどんな個性的なパフォーマンスであれ、その企画には会社が絡んでるってのは、まあ常識ですよね。会社が許さないこと、アーティストがやるわけありませんもんね。
ようするに、「テーマが同性愛」ってのも、倖田來未の思いつきっていうより、エイベックスの狙いなわけですね。
だいたいこの「BUT」って曲、エイベックスがプロモートした映画「ステップ・アップ」の主題歌です。同性愛は別に関係ないですね。
しかし、3月10日には、新宿二丁目のクラブでこの映画のゲイだけ試写会ってのやってますね。ガタイ系野郎が主役だというわけわからん理由で。
で、主題歌「BUT」の歌詞のテーマはなんと同性愛。会社の戦略丸見えで、いっそすがすがしいほどですね。
いやね、ついでにね、これも疑ってるんですけどね、エイベックスさん。
PVの女性同士のキスシーン*3が、倖田のアドリブってのも、あれ嘘でしょ?
アドリブにしちゃ、不自然なほど決まりすぎてんですけどカメラアングルが!
↓↓↓↓以後、「すべてエイベックスの戦略」に脳が染まった状態で絡む↓↓↓↓
あのね、エイベックスさん。
薄給のいちゲイが言ってもせん無いことかもしれませんがね。僕、こういうコソコソしたやり口嫌いですよ。
いや、あなたがたは、たいへん尊敬に値する会社だと思いますよ。中村中をプロデュースしてることや、クラウス・ノミの伝記映画「THE NOMI SONG」*4やさわやかゲイ映画 「僕の恋、彼の秘密」をプロモートしたのは、そりゃたいへんにLGBTフレンドリーな活動といえます。
倖田來未というトップタレントを使ってLGBT市場に乗り込もうという今回の企画、それ自体も、たいへんいいと思います。先見性があります。
だけど、「私たちは同性愛を否定しない」というメッセージの発信を、倖田來未という「少々変わったことをやってもいい」的なキャラに丸投げしておいて(「キスはアドリブ」とかね)、自分たちは隠れてるでしょ?それはどうですかね?
倖田はわけのわからん歌詞と発言で、肝腎のLGBTの顧客様の一部をはや失望させてるんですが?
LGBTマーケット戦略を組んでるなら、80年代生まれのタレントにほとんど生まれる前の同性愛観を語らせるような(イタコか?!)ヘマなことをやるんですかね?というか、企業としてゲイフレンドリーな立場を宣言するという方向をとらないのは、何故なんですか?
倖田の新曲は同性愛!メディアにショックを与えてたいへん結構ですが、二丁目で試写会やったことは隠してますよね?倖田は自らアドリブで女性ダンサーとキス!美しいダンサー達の妖しい絡み!に加えて、新宿二丁目の大手クラブで堂々試写会!ゲイに熱狂的に受け入れられた!という宣伝は、しないみたいですね?「テーマが同性愛」なのに。映画の公式サイトじゃ ニュース にもイベント試写会レポートにも載っちゃいませんけど、どうしてですか *5?
あのね、エイベックスさん。
こういう態度ってね、危険だと思うんですよ。
こういう態度を見てるとね、疑い出す奴が出てくるんですよ。僕みたいに。
いや、だってね。同性愛者にとって、煮ても焼いてもどうしようも喰えないようなクソフォビア野郎と同じぐらいムカつく奴って、「同性愛者とかかわりを持っていることを恥じる奴」だったりするもんですからね?
タワーレコードがLGBTの間でリスペクタブルな会社だってのは、知ってますよね?
タワーレコードは自分でLGBTライフスタイルマガジン『yes』も発行してるし、LGBTコーナーが店舗内に「オープンに」ある支店もあるでしょ?
タワレコはLGBTに対する姿勢に誠意があるでしょ?それがリスペクタブルなんですよ。会社と顧客とお互いの間にリスペクトがあるんです。
だから、少々無理しても、CDは必ずタワレコで買うって人がいるんですよ。LGBTだけじゃないですよ?ゲイフレンドリーなヘテロもですよ?
とりあえず、できるところから、提案です。
あの曲を売っている間、専用スタッフ置きなさい。掛札悠子と笹野みちると大塚隆史と平野広朗と伏見憲明と石川大我を読ませて、売り込み戦略を練りなさい。レズビアン・ゲイに「おっ、分かってる!」と思わせる宣伝をバンバンかけなさい。
ほんとに分かってる必要はありません。口先だけでいいです。戦略です戦略。
あと、倖田來未のインタビューには、全部台本つけなさい台本。
そしたら、今からでも建て直しができます、たぶん。
人権問題とかそういう話はしてませんよ僕は?
金もうけの話ですよ金もうけの。
追記
少し文章を書き直しました。
ムカついていることを書くとムカつきが増幅されるもので、調子に乗って随分ひどいことも書いた気がするが、僕も大手企業がゲイタウンでイベントをやるといった企画はすばらしいと思うし、時代が変わったなとも思う。
しかし、問題の曲の歌詞はお粗末だし、女同士のキスやらセクシーな絡みやらレズビアン・イメージをたっぷり利用した曲なのに何故LGBT向け特別企画が「ゲイだけ」?という疑問も湧く。全体として、この企画は僕には杜撰に見えるしキャッチーにも思えない。
くどいようだが、そういう感想は、ちゃんと述べるべきだと思った。