NTTドコモ・キッズi-modeプラス「同性愛カテゴリ」アクセス制限問題の、僕なりのまとめメモ


NTTドコモ・キッズi-modeプラスが『ライフスタイル(同性愛)』カテゴリをアクセス制限対象に設定している」問題に、行き当たりばったり、思いつくままエントリを入れてきたが、様々な人のブログ情報やコメントを見て、ようやく問題が把握できてきた僕である。


もう多くのブロガーに了解されていることだが、自分のために、メモとしてまとめておく。

問題のポイント〜なぜ「ライフスタイル(同性愛)」がアクセス制限対象になっているのか


NTTドコモがキッズi-modeプラスの「アクセス制限サービス」として顧客の親に示す「一定のカテゴリ」は、ネットスター社の分類リストにもとづく。
NetSTAR―製品・サービス―URLリスト分類基準http://www.netstar-inc.com/products_04.html


このネットスター社は、「業務に不必要」「違法性が高い」「教育に有害」の理由でフィルタリング対象にするURLをカテゴリ分類してリストアップしている。
その中に、「同性愛:ゲイ・レズビアントランスジェンダーの生活スタイルに関する各種情報の提供」がある。
「性行為:「性表現」「文章による性的表現」などとは違う、セックス以外の「生活スタイル」なるものが、フィルタリング対象になっている。


NTTドコモの「ライフスタイル(同性愛)」という珍妙なカテゴリに「?」と疑問を感じていたのだが、これは、ネットスター社のカテゴリを、そのまま使用しているからである。
ただし、ネットスター社リストから自社のフィルタリング対象カテゴリを選択したのは、もちろんNTTドコモである。すでに指摘されているように、他社はこのカテゴリを選択していない。

いままでに分かった「対策」のポイント


(1)一般人(僕ら)がNTTドコモへ働きかけをするときの問題点


・「問い合わせフォーム」から「ライフスタイル(同性愛)」カテゴリをなぜアクセス制限対象に設定しているのか、質問・抗議しても、あまり意味はない。テンプレコピペの回答が送り返されてくるだけだ(3月29日エントリ参照)。

・もし訴えるなら、ネットスター社のリストからなぜNTTドコモだけが「同性愛」をアクセス規制対象にしているのか、そこを問いただすべきだろう。

NTTドコモの携帯を使っている人は、手っ取り早く他社に切り替える。


(2)「話が通る道」もある


大阪府議・尾辻かな子氏がNTTドコモに問い合わせたところ、「現在、対象カテゴリの見直しを検討している」という回答をしたそうだ(id:miyakichiさんの昨日の日記の追記2参照)。
テンプレコピペ回答による木で鼻をくくったような対応とは少しちがう感じがする。
やはり政治家の力はすごい、ということを、統一地方選を前に感じるわけである。


(3)そのほか、ブクマコメントから―


3月28日のエントリで上げた「企業の反同性愛的傾向により敏感なEUメディアにこのアクセス制限問題を流す」というのは―

欧州へのロビー活動は有効かもしれないが、ホモフォビアエスノセントリズムが合体したような人たちからのバックラッシュに注意

たしかに。「日本企業の恥をさらし経済活動を妨げるとはなにごとかこの売国奴のホモ野郎!」とか言われてはたまらん、ということだ。

でも英語版でも「公然と」記されているんですよね。95ページ4の「Others」参照。http://www.nttdocomo.co.jp/english/binary/pdf/service/imode/guide/imode.pdf

ありゃりゃりゃ。

あと、公共性の高い有益な同性愛リソースの存在をアピールすべきかと。


これは僕も考えた。


エロや出会い系の情報のない教育的同性愛サイトというと「すこたんソーシャルサービス」や「ピアフレンズ」などすぐ思い浮かぶサイトもいくつかあるが、小学生向けのレベルではない。たいたい中学生以上という気がする。
「小学生向けのアクセス制限で同性愛サイトを対象にするな!」と言うなら、「小学生に役に立つどんなサイトがあるのか」も示せないとダメかもしれない。


僕は、「同性愛を『子どもに触れさせないもの』に指定する」というやりかたに、「同性愛=隠しておくべき・いかがわしいもの」という偏見を認める態度があることがまず問題だと思うのだが、「規制しないことによるメリット」も、やはり具体的に示せないといけない。

「問題をさらし続けておくこと」の大切さ


僕は、「ライフスタイル(同性愛)」のカテゴリは、そう簡単には消えないと思う。


「親としては子どもに同性愛なんてものに触れさせたくないと思って当然」という異性愛者の意識は、なかなかぬぐい去り難い。「ボーイ・ミーツ・ガール」とはなにかをプチエロネタも満載して伝える異性愛情報からは、子どもたちを隔離したいとは思わないらしいにもかかわらず、である。
「知っておいた方がいい・隠す方が始末が悪くなるのだ」ということを、異性愛者一般の頭にすりこむには、時間がかかる。


「制度の惰性」というのもある。もちろん、NTTドコモの「現在、対象カテゴリの見直しを検討している」というコメントを信じないでもないが、一度決めたことは、なかなか変更されなかったりする。めんどくさいから。腰を上げさせるまでには、時間がかかる。


「問題をさらし続けておくこと」が大切だ。ネットスター社は、NTTドコモはこんなことをやっている、と、公にさらすこと。
抜けた話だが、いくつかのサイト経由でこの問題を知り、「許せーん」と叫んだとき、半年前すでに崎山伸夫氏がおなじ問題に取り組んでいたことを僕は知らなかった。
問題は、すぐに埋もれる。見えなくなると、すぐに忘れる。それがまずい。
ようするに、忘れず騒いでいること、変化が起きるまで、なんらかのかたちで絡み続けていること、が大切なのだと思う。

追記

id:miyakichiさんが、NTTドコモ問題について最後のエントリを入れている。


みやきち日記ーNTTドコモのアクセス制限問題について、ちょこっとつけたし


NTTドコモが取っているフィルタリングサービスの、技術的な側面の問題には、要注目。あと、今後のアクセス制限サービスの拡大方針についての情報に、要注意。


この件では、miyakichiさんのエントリに情報でも考え方でもずいぶんお世話になった。お疲れさまです。