Elvis Costello, Every Day I Write The Book(1983)


一昨日のエントリでエルヴィス・コステロのPVをトンチキだとかロクなPVを作ったためしがないとか罵ってしまったのを、俄然後悔している。Oliver's ArmyのPVのショックはそれだけ大きかったということだ。


コステロのPVは、ただアトラクションズと演奏しているショー風のものは、すごくカッコいい。Pump It Upとかね。だが、ドラマ風のものになると、脱力しているというか、ネジが一本抜けてるというか、全部観たわけじゃないが、もしかしたらやる気ないですかという感じがしてしまう。昔の曲は時代が古いと思えるが、もっと後の、90年代のThe Other Side of SummerとかSulky Girlも、いまいちヌケている。


とはいえ、いいPVもあるんである。I Wanna Be Lovedとかね。


これも、最初はトンチキ認定しかけたが、観なおしてみて、悪くないじゃん、と思ったPVだ。


Elvis Costello, Every Day I Write The Book - Punch The Clock (1983)


コメント欄では「曲はサイコー…ビデオはヒドい」「悪くない…80年代にしては」とやや失笑モードだが、ちょっとウケるのは、登場人物がチャールズ皇太子と故ダイアナ妃なのだ。2人の結婚が1981年だから(ウィキペディア)、まだ後のような暗い影は差していなかった頃だろう。


Every Day I write the Bookは、男が好きな女の子に、2人の恋愛小説を書こうと呼びかけている歌。「僕は君を憧れの目で見ている、毎日、毎日,毎日僕は本を書いている」というベタなリフレインをコステロが歌うと、なんともかわいくて(?)味がある。
ダンナに家事を任せてブスッとTVの古い恋愛映画に没頭しているダイアナの気を引こうと、チャールズが皿洗ったりコスプレしたり花捧げたり火の輪くぐりをしたり。


コステロは、ロイヤル・ウェディング騒ぎみたいなものにはヘドが出そうだったんだろうか。美人だが無愛想な妻の機嫌を取る冴えない男が滑稽だ。CHAPTERと刻み込んだ墓石のようなプレートを、コステロが2枚一緒に叩き割る場面は、ちょっと怖い。


チャールズ皇太子とダイアナの結婚は最初から偽装結婚みたいなものだった。そういう話はこの頃のイギリスで知られていたのか、いなかったのか。王族やら貴族の結婚なんてそんなものなんだろうが、ダイアナは、それに耐えられる人間ではなかったのだろうか。
あの人が悲劇のヒロインなのかどうか僕には分からないが、あんな死にかたをした今となっては、ちょっと悲しいぐらい優しく見えるトンチキPVだ。(←あっ、また言ってる)

Punch the Clock (Bonus CD) (Dlx)

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