ILGA−ジョグジャカルタ原則アジア公布式@チェンマイ(タイ)


「性的指向と性自認の問題に対する国際人権法の適用に関するジョグジャカルタ原則」


先週、1月24-27日は、世界最大手のLGBT団体ILGAのアジア支部ILGAアジアの第3回年次大会(@チェンマイ)だったんですが。


開会式で、ジョグジャカルタ原則署名者の1人であるチュラロンコン大学法学部教授ビティット・ ムンタボーンVitit Muntarbhorn氏により、ジョグジャカルタ原則の紹介が行われたそうです。


昨年10月リトアニアで開催されたILGAヨーロッパ年次大会でも、同じくジョグジャカルタ原則署名者のマイケル・オーフラティ氏によって公布式が行われましたから、きっとあるだろうなーと思っていたのですが、ありました(笑)。


Vitit Muntarbhorn - en.Wikipedia


ビティット・ ムンタボーン教授は、1990-1994年に児童売買・売春・ポルノ問題の国連特別報告者、2005年からは北朝鮮の人権状況に関する特別報告者を務めています。
2004年には、ユネスコ人権教育賞を受賞しています。日本にも何度か来ておられるんですね。


ムンタボーン教授によるジョグジャカルタ原則アジア公布式、どんな内容だったんでしょうか。またウェブ上にレポートが出てくるのが楽しみです。ステイトメント全文が出るといいんだけどな。


今んとこ見つけたILGAアジア大会のレポート:
Fridae - January 28, 2008 - ILGA-Asia conference elects first regional board

2月5日追記


会議に参加された方から、ジョグジャカルタ原則公布式についてのコメントをいただきました。ありがとうございました。



 ムンタボーン教授のジョグジャカルタ原則に関するお話ですが、タイ国家人権委員会のナイヤナー・スパープン委員によるご講演の後にありました。内容は簡単に言うと、同原則29の確認と解説でした。国際的にも国内的にも、アドボカシーや政策策定にぜひ原則を活用してほしいとお話しされていました。限られた時間の中で駆け足のようなご講演だったのですが、それでも、ムンタボーン教授がジョグジャカルタ原則に込められた強い思いが伝わってくるお話でした。


公布式は、会議が開始された1月 25日(金)(24日はプレコンフェランス)の、開会総会(Opening Plenary)で行われました。

ILGA Asia Conference, Chiangmai 2008のプログラム(HTMLバージョン)


この開始総会には2つイベントが行われてますが、その1つがジョグジャカルタ原則公布式(10:00-11:00a.m.)だったのですね。


OPENING PLENARY I: Launching of the Yogyakarta Principles


10.00 am Introductions CLRB & M-Plus


Opening Address  
  Representative, National Human Rights Commission (NHRC), Thailand
Naiyana Supapung


Keynote Address
  Vitit Muntarbhorn, UN Special Rapporteur, Democratic People’s Republic of Korea



まず、Campaign for Lesbigay Rights in Burma(CLRB)とタイのLGBT組織M-Plusによるイントロダクション。
タイ国家人権委員会のナイヤナー・スパープン氏による開会演説。
そしてムンタボーン教授の基調講演。


ナイヤナー・スパープンNaiyana Supapung氏は、移民セックスワーカーなど、社会・経済的に抑圧された女性の人権擁護のために活動する人権問題専門家だそうです。

ASHOKA - Ashoka Fellows - Naiyana Supapung


バンコクの英字web新聞『The Nation』にILGA会議のニュースが載っていますが、
The Nation - 2008/02/01 - LGBTの虹のすべての色がチェンマイでカムアウト(All the colours of the LGBT rainbow come out in Chiang Mai)



 On the opening day, our greatest ally in the National Human Rights Commission, Naiyana Supapung, came to speak about the commission's fruitful collaborations with lesbian, gay, bisexual and transgender groups on human rights issues such as the Sor Dor 43 military document and the Constitution. Her presence was a reminder of how lucky Thai LGBTs have been in the past six years. At the same time, it was also a time to fear the unknown as her term will soon come to an end.


 To a standing ovation Vitit Muntarbhorn, another national champion of Thai LGBT rights, expounded on the Yogyakarta Principles - the document on how to apply international human rights laws in relation to sexual orientation and gender identity, which was developed by a panel of experts co-chaired by Prof Vithit himself. (See www.yogyakartaprinciples.org.)


なかなかアツいです。


ところで、ILGAアジア会議って、いつもネーミングがいいですね。
今年の第3回は「Equality in Diversity, Now!(多様性の中の平等を,いま)」。「Equality and Diversity(平等と多様性)」という言葉がありますが、それをちょっとひねっている。
第1回(2002@ムンバイ)は、「A to Z: The Other Asia(AからZまで:もう1つのアジアのすべて)」。性的少数者が隠されていないアジア=もう1つのアジアの可能性への意気込みが感じられます。
第2回(2005@セブ)の「Coming Out, Coming Home(カムアウトすること、それは家に帰ること)」は、目にするたびに胸を突かれて涙が出そうになります(笑)。

2月16日追記


ゲイジャパンニュースに、ILGAアジア会議のニュースが掲載されています(2月15日付)。
ジョグジャカルタ原則についてのムンタルボーン教授の講演も、当然、言及されていますよ。

ゲイジャパンニュースー第3回ILGAアジア会議、地域委員10名を選出して閉会



会議開催中は14のプレゼンテーションとワークショップが行われ、開催2日目にはタイ国家人権委員会委員でLGBTI権利支持者として知られるナイヤナー・スパープンさんと、2006年11月に採択された『性的指向性自認の問題に対する国際法の適用に関するジョグジャカルタ原則』(通称 ジョグジャカルタ原則)の作成に関わったウィティット・ムンタボーン国連北朝鮮の人権状況特別報告者(タイ・チュラロンコン大学教授)が講演した。