ジョグジャカルタ原則ヨーロッパ公布式@ILGA年次大会


「性的指向と性自認の問題に対する国際人権法の適用に関するジョグジャカルタ原則」


11月7日、国連総会でジョグジャカルタ原則の公布式が行われます。


ジョグジャカルタ原則の承認を、国連事務総長に求める署名活動が行われています。


11月7日NY国連本部でのジョグジャカルタ原則デビューまで、7日間の私的応援キャンペーン。一日一善一ジョグジャカルタ


とはいえ、相変わらず能もなく関連ニュースをかき集めるだけだが。


今日は、先週開催されたヨーロッパILGA(International Lesbian and Gay Association)年次大会(10月25日-28日)のニュース。
ILGAは世界最大級のLGBT権利団体。日本のLGBT団体もいくつか加盟している。先月、日本のゲイジャパンニュースも加盟して、ちょっと話題になった(なったのか?関連ニュース)。
そのILGAのヨーロッパ地域第11回年次大会が、先週、リトアニアの首都、古都ヴィリニュスで行われたが、これがジョグジャカルタ原則のヨーロッパ公布式を兼ねていた。


ILGAヨーロッパサイト ILGA Europe
ILGAヨーロッパ2007年年次大会サイト
ILGA Europe Vilnius 2007


ところでヴィリニュスって、どんなとこ?
ウィキペディア−ビリニュス
歴史的な構造・建築を留める旧市街は欧州最大規模、世界遺産だって。
わ〜キレイだ〜。
ヴィリニュス市公式サイト
やっぱゲイ旅行ガイドも載せとかなくちゃ。
Gay Vilnius


1ヶ月ほどジョグジャカルタ原則の追っかけをやっていての印象で、なんとなく気掛かりというかぶっちゃけスネた気分になっていたのが、欧米でジョグジャカルタ原則に対する関心を示すようなニュースが乏しいこと、だった。
ネットの英語ページを見ただけの、偏った印象でしかないんだけれど。しかし、仮にこれがあるていど有意の傾向だとしたら、その理由は、分かるような気がした。
あくまで僕の推測ではあるが、「LGBT権利先進国」(と、いう言い方をして良いか分からないが)は、実際にこういう原則を必要としていないのだ。


同性愛を禁ずる法もなく、大きな同性愛者コミュニティがあり、同性愛者に一応の安全とライフスタイルのそれなりの選択肢が確保されている国では、国際スタンダードによるバックアップが、切実に必要とされるわけではない。いきおい、関心も薄くなる(日本でもゲイジャパンニュースからの翻訳がまだ出ないしぃ)。


同性愛者が本格的に抑圧されている国ではブロックアウトされる、同性愛への抑圧が軽い国では関心が薄い、結果、本当に必要としている人には届かない。ジョグジャカルタ原則はそういうヤヴァい負のスパイラルに巻き込まれるんじゃないか、と、僕は心配になっていたんである。


が、それは僕の認識不足だったらしい。

だいたい、このところのキリスト教諸派(カトリック・米聖公会ロシア正教会…)の同性愛否定の巻き返し、ロシア・東欧で相次ぐ同性愛バッシングを考えれば、ヨーロッパが性的少数者の人権を守る国際スタンダードを必要としていない、なんてことはあり得ないわけで。


大会初日のILGA共同議長による基調講演では、欧州で頻発しているプライドの禁止や集会・表現の権利の阻害について憂慮が示されたあと、「だが、今や私たちは人権のために行使できる2つの道具を手に入れた。1つはジョグジャカルタ原則、1つは国連経済社会理事会での(ILGAの)顧問の地位である」と宣言された*1


ジョグジャカルタ原則ヨーロッパ公布式は、大会2日目。ジョグジャカルタ原則の起草に携わった国連人権委員会委員・ノッティンガム大学人権法センター共同所長マイケル・オフラーティMichael O'Flahertyが講演を行った。



We then had the European launch of the Yogyakarta Principles. Professor Michael O’ Flaherty, Rapporteur of Yogyakarta Principles Expert, United Nations, introduced this milestone document in greater details and encouraged everyone to use the document in advocacy with their governments on LGBT human rights.


Some presentations are available in the very end of this page.


In the afternoon the participants continued their work in following workshops:

  • Using the Yogyakarta Principles;
  • Using video in monitoring LGBT human rights abuses
  • Conference proposals
  • Reconciling sexuality and spirituality


マイケル・オフラーティ教授の講演は、こちら。
Presentation by Professor Michael O'Flaherty(Wordファイル)


ちなみに、ノッティンガム大学人権法センターでは、オフラーティ教授の指導でインターンのグェネス・ウィリアムズGwyneth Williams氏が、ジョグジャカルタ原則の注釈を作製したそうだ。
関連ニュース(11月13日まで表示)
The University of Nottingham - Human Rights Law Center - News - HRLC to draft detailed annotations to the Yogyakarta Principles
The University of Nottingham - Human Rights Law Center - News - Successful summer internship positions draw to a close


参加人数約200人。最大大手としてはささやかな数字に思えるが、ロンドン市長の支援メッセージのほか、EU各国関係者の参加もあったようだ。
来週の国連での公布式に、いい弾みになるかな?ならないかな?