Alan Cumming @ “The Bacchae”
アラン・カミングがNational Theatre of Scotlandでエウリピデスの(スプラッタ)ギリシャ悲劇『The Bacchae(バッコスの信女)』(John Tiffany演出)に出演中だ。
8月にスコットランドで開催されたThe Edinburgh International Festivalで初演(里帰りだな)。9月下旬までロンドンとグラスゴーを回る予定。
National Theatre of Scotland- The Bacchae
演じるのは当然デュオニソス。聞く前から分かりますよそれぐらい、という感じだ。AfterElton.com「このキャンプなカリスマ的俳優は、この役を演じるために生まれたようなものだ(It’s a role this extraordinarily camp and charismatic actor seems to have been born to play.)」。
- 作者: 松平千秋
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/05/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
テーバイ王ペンテウスは、秩序を紊乱するデュオニソス神を否定し投獄する。しかし逆にデュオニソスに惑わされ、バッカイ(デュオニソスの信女)と同じ狂気に憑かれた王は、女の服をまとい、信女たちの群れに身を投じ、狂女たちに引き裂かれてズタズタの肉塊になる。
異分子を認めず排除する権力に降りかかる、異分子からの逆襲の物語のようでもあり、おのれの内なる欲望を恐れ抑圧するあまり、密かに求めるものの迫害に走ったペンテウスの悲劇のようでもあり。
で、デュオニソスをアラン・カミングが演じると、これも聞く前から分かるというかもうお約束というか、「デュオニソス的なるもの=ジェンダー撹乱」「反デュオニソス=トランスフォビア」というストーリーになっている模様。
もうこういうのばっかりだねこの人は、という気がしないでもないが、やはり楽しい。
デュオニソスがテーバイに帰還したことで、従順な娘や妻であった女たちがバッカイ化し、秩序=権力(男)のコントロールを逸脱・破壊してゆく。ペンテウスはそれを憎み恐怖する。『バッコスの信女』は、男の女性(性)のコントロールと、その失敗に対する恐怖が根底にある物語でもある。
世界一クィアという言葉が似合う俳優(と、僕が思っている)カミングに、まさにふさわしい。
とはいえ、観れやしないんだが。
TVで放映するとかDVD化するとか、してくれないだろうか?
The Bacchae