サル・ミネオのセクシー・ショット


いきなりだが。唐突だが。



ジェームズ・ディーンの『理由なき反抗』で、非業の死を遂げるジム(ディーン)の友人プラトーを演じたサル・ミネオ


『理由なき反抗』は、「10代のゲイが登場したはじめての映画」と言われる。プラトーがジムに寄せる強い友情が、どう見ても恋心にしか見えなかったからだ。
プラトーを演じたサル・ミネオは、実際にゲイである*1。というか、監督ニコラス・レイバイセクシュアルだし、ジェームズ・ディーンも男たちとの同性愛関係で知られているし*2(同性への性的指向があったのか、ハリウッドでの枕営業のためか、知らないけれど)、ゲイだらけの映画なのである。


で、ゲイであり、映画史に残るゲイを演じたサル・ミネオなんであるが。


彼は、けっこうセクシー・ショットが多い。
 (ただそれが言いたいがためのエントリである)




イタリア系だから不思議はないが、身長171cm*3。ハリウッドのアクターとしてはかなり小柄なほうだろう。僕より小さい(関係ない)。でも、バランスの取れたいい体をしている。



体だけでなく、カワイイ顔の人である。
ブロンクス生まれ、8歳のときからギャングでならした少年時代を持つとは、ちょっと想像しにくい。



二次元でもセクシー。
jameswagner.com-our own temporary Homomuseumより



おさるさんもセクシー。


僕は、「理由なき反抗」を随分長いこと敬遠していた。
なにしろ古すぎるし、ジェームズ・ディーンが象徴する感傷的な若者像があまり好きになれなかったし、ゲイが死ぬ、というのになにより抵抗があった。
男性的な硬派のノンケ・ヒーローに男性的でないゲイが叶わない恋をして死ぬ。こういう図式を想像して、あーやだやだ、と思っていたのである。


でも、実際に観て、考えが変わった。映画自体は古いし決しておもしろいとは思えなかったが、サル・ミネオのプラトーが、とてもカッコ良かったのである。「女々しく」もないしネガティブでもない。これは多くのゲイの胸を打っただろう、と唸らされた。

理由なき反抗 特別版 [DVD]

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3人の若者のうち、ジム(ジェームズ・ディーン)とジョディ(ナタリー・ウッド)は反抗を止め、いずれは幸せな家庭を築くのに、ゲイのプラトーはひとり「理由のない反抗」を貫いて死ぬ。これはやはり納得がいかないのだけれど。
なぜ、ジムやジョディが死なずにすんだのに、プラトーだけが死ななければならないかったのか。彼には「理由があったから」だ。
不安な若者期を過ぎてしまえば、ジムとジョディはなにごともなかったように両親たちと同じ道ー結婚・家庭−に入っていくことができた。だが、プラトーにはそれができなかった。彼が戻ってゆける場所は、当時の社会に用意されていなかった。


「理由なき反抗」というタイトルは、ひとりプラトーについては、ものすごく重い意味がある。ここで「理由がない」というのは、「語れない」という意味なのだ。語れないということ−カミングアウトできないということ。
プラトーの死は「物語のなかで必ずゲイは死ぬ」という悪しき定石のように見えるが、彼が死ななければ、ジムやジョディの反抗とプラトーの反抗が決定的に違った理由、その理由を「語れない」ことの重さを伝えることはできなかったのだと思う。


サル・ミネオは俳優・歌手として活躍したが、成功には恵まれなかった。だが、スターにならなかったことが、彼をゲイとして自由にしたらしい。経済的に苦労しながら同性愛をテーマにした舞台Fortune and Men's Eyesを監督し、ゲイ演劇に自分の方向を見いだしつつあった*4
1976年、バイセクシュアル役で出演することになっていたP.S. Your Cat is Dead!のリハーサルの帰路、何者かにナイフで胸を刺されて死んだ。


画家David Russell TalbottのサイトDavid Russell Talbott-PULPCOREHollywood Eats Its Own(ハリウッドはおのれを喰らう)というコーナーに、「 the Switchblade 」というサル・ミネオの肖像がある。



Sal Mineo (1939-1976)



Official Website for Sal Mineo
サル・ミネオのオフィシャルサイト
Sal Mineo-Wikipedia, Free Encyclopaedia
glbtq (Encyclopaedia of Gay, Lesbian, Bisexual, Transgender and Queer)-Mineo, Sal

追記:サル・ミネオ1972年のインタビュー


サル・ミネオがバイだとカミングアウトした1972年のインタビューは、webで読むことができる。
THE BOZE HADLEIGH INTERVIEW OF SAL MINEO~1972


彼がカミングアウトした(というか、バイだと否定しなかった)部分を、ちょっと見てみよう。
なかなかステキな言葉だ。

BH: Do you think rumors about being bi have hurt you in your career?

SM: Maybe. . . Nah, I doubt it. Everyone's got those rumors following him around, whether it's true or not. Everyone's supposed to be bi, starting way back with Gary Cooper and on through Brando and Clift and Dean and Newman and . . . you want me to stop?

BH: Did you resent the rumors?

SM: Well, no. Because what's wrong with being bi? Maybe most people are, deep down.


BH(インタビュアー):バイだという噂にキャリアが傷つけられたと思いますか。
SM(サル・ミネオ):たぶん…ノーだね。そうは思わないよ。誰でもそういう噂に付け回されている。真実だろうとなかろうと。誰でもバイだろうと想像されてる。そもそもゲイリー・クーパーや、それに(マーロン・)ブランドや(モントゴメリー・)クリフトや(ジェームズ・)ディーンや(ポール・)ニューマンや…止めようか?
BH:あなたはその噂を否定した?
SM:うーん、いいや。だって、バイでなにが悪いんだい?たぶん、たいていの人がそうだよ。その奥深いところでね。


THE BOZE HADLEIGH INTERVIEW OF SAL MINEO~1972

Sal Mineo: His Life, Murder, and Mystery

Sal Mineo: His Life, Murder, and Mystery

*1:その不可解な死のあとに公表されたインタビューでは、バイセクシュアルだと示唆していた。だが、その早い晩年は男たちとの交際で知られていたし、死後その家からはゲイポルノが見つかったという。Sal Mineo-Wikipedia, Free Encyclopaedia

*2:James Dean-Wikipedia

*3:俳優の身長 男優編

*4:CourtTV-CrimeLibrary-THE SWITCHBLADE KID: THE LIFE AND DEATH OF SAL MINEO-Chapter5